新生児科部長先生の定期健診 2023.4.13
息子が月齢2歳3か月(修正2歳)を迎えた頃、息子の産まれた病院の定期健診がありました。
いつもは主治医の先生が診察してくれますが、この日は新生児科の部長先生が診察してくれました。
私が切迫早産で入院した初日にお話しした以来、会話する機会がなかったのですが、今回ゆっくりとお話しできとても有意義な時間でした。
いつも診察は、息子の近況や発達の状況について話した後、体に聴診器をあてて胸の音を聞く流れですが、息子は毎回聴診器を嫌がり泣き出してしまいます。
この日は先生が、息子が大好きな車のおもちゃを貸してくれて、遊びに夢中になっている息子の動作や気持ちを代弁しながら優しい口調で話しかけていて、子どもの心を掴むのがとても上手い人だな~と感じました。
息子も先生とちゃんと会うのは初めてでしたが、このわずかな時間で心を開いたのか、先生が聴診器をあてるために「洋服をあげてくれる?」と聞くと、医者嫌いの息子が素直に洋服をあげていてとても驚きました!
そして先生は、息子を大袈裟なくらいに褒めてくれました。
この大袈裟に褒めることがとても大切なことだと言っていました。
先生はマスクをしていても、目が大きく動き、目で会話をしているような人だなとも感じました。
それから、子どものコミュニケーションについて色々と聞かせていただきました。
- 0~3歳の間にコミュニケーション能力の基礎がかなり作られる。
- 子どもは大人のことを本当によく見ていて、そこから膨大な情報を吸収している。
- 目は表情の8、9割ともいうが、(顔全体を見せてあげることが子どもの発達にとっては一番良いわけであって… )正直目元だけで子どもたちに表情を伝えるのは難しいと思っている。 コロナ渦でマスク生活が続き、顔半分の表情が見えない生活が続いていくことは子ども達にとってどれだけの影響があるかとても心配している。 特に保育園に通っている子は、生活の半分がマスクの大人とのコミュニケーションなので、顔が見せられる家族の時間だけでもよく顔(表情)を見せて、特に目を見て会話するように意識したほうが良い。 病院でも、長期入院している赤ちゃんや子ども達はマスクの大人(医療従事者)と24時間接しているから表情が乏しくなりがちであり、感染防止のためにマスクは欠かせないものだが悩ましい問題である。
- 自分の行動に対して相手が反応してくれる → これがコミュニケーションの基本
- 2名以上いて、お互いに反応するからコミュニケーションが成り立つ。 一方通行ではいけない。
- スマホ、テレビも一方的な情報伝達しかしないため、時間を決めて短時間で見せることは良いが、長時間見せておくということはやはり良くない。 テレビは、見ている側が面白くて笑っていても何も反応してくれない。 一方的な情報伝達に慣れるとコミュニケーションが苦手な大人になってしまう。
- 言葉の面でも、言葉とモノ、言葉と動作、言葉と感情など様々なモノへの紐付けを大人がしてあげることが必要である。 例えば、「モノ(おもちゃの車)が落ちたね」、「赤い車だね」、「車が欲しかったんだね」、「(テレビを見ながらでも)○○が笑っているね」など… 過剰に思えるくらい話しかけてあげることは意識したほうが良い。
- 言葉が話せなくても、理解が進んでいればOK 話せないことで、子どもも自己表現ができずイライラしてしまうこともあるけれど、それを代弁してあげることで、言葉による自己表現も少しずつ進んでいくようになる。
子育てに追われる毎日でついつい忘れてしまいがちですが、子どもの動作や気持ちを代弁すること、褒めること、テレビに頼りすぎないことは、改めて大切にしたいことだと思いました。
マスクの弊害 息子の場合
生後1年近くを病院で過ごしていた息子。
退院して自宅で過ごすうちにふと感じたことは、上の子どもたちと比べて表情が乏しいということでした。
修正7か月(生後11か月)、色々なことに興味を示し、様々な表情が見られる時期です。
「退院後は感染予防のためお家でもマスクで過ごしたほうがいいです」と病院の看護師などに言われてましたが、早々に自宅でマスクをするのはやめました。
感染リスクは上がりますが、今後の発達面のほうが心配でした。
入院中から無表情なことが多く、反応が薄いな、、大丈夫かな、、と不安になることが何度もありました。
生まれてすぐにNICU、GCUで過ごす子は、ここ数年マスクの大人しか見れていないせいなのか表情が少ないと病院や訪問の看護師からも聞きました。
以前、テレビでも専門家の方が「コロナ渦でマスク生活になったことの子どもたちへのリスクはとても大きく、発達や心の成長に多くの悪影響を与えている…」と言っていました。
子どもは『発語、発音、ものを食べる』などの口元を使った動きを、生まれた時から日常的に大人の顔を見て覚えていくのだと思います。
息子の場合は入院中に、直接母乳を飲ませたり、哺乳瓶で口からミルクを飲ませることをやめてしまい(肺に負担がかかり呼吸が苦しくなるという医療的な理由のため)、経管栄養(鼻から胃まで細い管を入れてミルクを流す)で何か月も過ごしていたので、離乳食開始時期になっても『口からものを食べる、ミルクを飲む』という行為が理解できていませんでした。
哺乳行為は本能的に最初から備わっていますが、この動きも続けないと忘れてしまうそうです。
そのため息子の面会時に、家で家族がご飯を食べている様子を動画に撮影して病院で見せたり、主治医に特別に許可をもらって、離乳食の時間は親だけシースルーのフェイスマスクをつけて口元を見せながら食べさせていました。
生後、自宅で家族と過ごす子どもは、大人が食べる様子を見ているうちに段々と自分も食べたいという気持ちが出てくるようです。
しかし、それができなかった息子は、生後11か月の退院後から『食べる、飲むこと』を本格的にスタートすることになってしまったので、本当に大変な苦労をしました。
言語聴覚士や訪問歯科による口腔リハビリについても今後書いていく予定です。